大正浪漫探偵譚~君影色の設計書~

2016年7月の公演です。

 

演じる南澤謙は、映像記憶能力の持ち主。

事前に発表されていたキャラクタビジュアルは丸眼鏡に袴の書生風でとっても雰囲気がよくて、事件解決に南澤の特殊能力がどう寄与するのか、楽しみに思ってました。普通は見逃してしまうような風景に、実は凶器や犯人につながる証拠が残っていた~みたいなの。

 

公式ホームページに 「密度の濃いスピード感あふれる推理舞台」とありましたが、時間あたりの台詞量が多い。

パンフレットでご本人が「台詞が多くてうれしい」とおっしゃってました。私もうれしい!

その最たるところが、犯人の残した暗号解読の鍵となる元素記号の暗唱シーン。 背景のスクリーンに正解の元素記号が映し出されてるので間違ったら分かってしまう。鬼!でも息継ぎの間も惜しいくらいに一気にまくし立てる様は見物でした。廣瀬さんthe鬼ころし

しかし映像記憶が事件解決につながるシーンを楽しみにしていただけに、元素記号の暗唱って脚本はかなり残念でした。それ特殊能力なくても出来る事だ…。

キャパ200人台の劇場で、客席の目の高さがちょうどステージに立つ人の足元あたりになるからか、草履の足元を見ていた記憶があります…。あと動き回っているうちに結び目が腰の真横に回ってしまうほど袴が捩れていて、袴が回るってどれだけ細いんだと思ったりしました。

 

公演期間後半は声が枯れ気味で、なんとか千秋楽までやり遂げたという印象でしたが、でもその事にマネージャーさん含めてSNS等で触れない姿勢は良いなあとしみじみしました。

声が普段通りに使えない分、表情や仕草が丁寧に表現されているように感じて、私は見入ってしまいました。でも、そういう部分がどんなに良くても、人に感想を聞かれたら一言目は「声がね…」になってしまうのも、事実です。

 

あと演出に関して、私も素人ではありますが、たとえば怒っている人がいたら、その人に当てる照明が変化するとか、周りの人間が怯えて見せるとか、音楽が流れる/消えるとか、それが演劇、演出だと思っていました。この作品は怒っている人はその場でずっと怒っていたので、素直に「うるさいな」と思いました。

南澤、北早(北村諒さんの役)がどういう人物なのかという演出も不足に感じました。名探偵の助手二人というおいしい設定なのに、二人がお互いをどう評価し、どう感じているか、見えなかった。

 

いつかのカーテンコールで、段取りを違えて三方礼を途中でやめてしまって、周りに合わせて慌てて最後の一礼に戻ったあと、「私事ですがさっき裏で鼻血が出てしまって動揺していて…今は大丈夫です」と話されてました。鼻血のエピソードたまに出てくるな…。