はいいぞ。を見てください。

ヘタミュからのファンの方のビューが、結構あるように感じていてうれしいです。
見たもの、考えたことを記録に残す習慣は元々あまりなかったのですが、
未来に廣瀬さんを好きになる人が読むものが、インターネットにあると(無いよりは)いいかな?と思って始めたブログです。

これまでのご出演作でDVDが出ているものについて、僭越ながら記事を書きたい欲も出てきました。
ということで、以下、「見てください編」です。

極上文学「ドグラ・マグラ

■6th< Dogra Magra > - MAG.net 公式サイト
ビジュアルがめっちゃ好きです(身も蓋もない)。
震える声、瞳、揺れる身体、すべて美しいです。見てください
ヘタミュで日本役だった植田さんがヒロイン役です。

ミュージカル「テニスの王子様」青学vs立海

ミュージカル『テニスの王子様』公式サイト | ミュージカル『テニスの王子様』青学vs立海 | 公演詳細
シリーズ作品であり、複数公演に出演されている中で、メイン校ではなくゲスト校出演のこちらを選んだのは、これが最後の本公演出演で、特典映像に千秋楽のバックステージ映像が収録されているからです。
千秋楽の舞台袖で、ステージに背を向けてセットに腰掛け、俯いている姿は、彼がテニミュにもらったもの、そしてテニミュに与えたものの重さを感じさせます。かなりの凄味ですので、見てください
同じディスクに収録の全景映像で、カーテンコールでの三方礼からの最敬礼も見てください

ミュージカル「薄桜鬼」 土方歳三

ミュージカル『薄桜鬼』土方歳三 篇 ~ 2013年10月 日本青年館 大ホールにて上演
同じくシリーズ作品の中からこの公演を選んだのは、バックステージ映像のためです。
千秋楽、開演直前の舞台裏で、鏡の前に立って衣装を整えている。落ち着かない様子に見える。でも身支度が済んで、ふっと目線を上に上げて、また正面に戻しながら鏡に映る自分に笑いかけると、もう、顔が沖田総司になってるんですよ。この10数秒を見てください

銀河英雄伝説 第四章 激突前夜

舞台 銀河英雄伝説 | 第四章 前篇 激突前夜 オフィシャルサイト
この人は本当の本当の本当にすごいぞ、と思った作品です。見てください
台詞だけじゃなく、指の動きや歩き方で、役の性格も感情も見せている。今はどの作品でも当たり前にやっていらっしゃるように思うけど、このときに「やばい、すごい」と、私は思いました。
収録回ではないのですが、めずらしく台詞が出てこなくなってしまったときがあって、そのとき西岡徳馬さんが喝をいれるように次の台詞を言って、その後は集中力で完全にリカバリーしたのも印象に残ってます。あのときの空気すごかったなあ。

グラフィティ!!

映画『グラフィティ!!』
オリジナル作品。原作モノのご出演が多いのでめずらしい感じがする。
お話がわかりやすくきれいにまとまっているので、安心して見てください。クレジット順が一番上だけあって、出てる時間も長いです。
立ちしょんと金属バットと札束と喫煙があります。見てください



以上でございました。
ママと僕たちメンバーとして出ている「勝手に!ドルフェス2013」とか、メサイアシリーズとか、他にも色々とDVDで残っています。本当に幸せなことです。
ドルフェスでは、ママ僕本公演で出てなかった曲を当たり前のように踊ってて、さすがです。当日は薄ミュマチネ青年館からのドルフェス2部品川ステラボールでした。

次に「いいぞ編」としまして、今となっては懐かしいエピソード集を書く…?書くかな…?
ニコニコ動画は怖くて登録できない事件、カテコでキャッキャッと手を振りながら降りてくる緞帳より前に出る事件、ピカチュウの皮事件、左手薬指の指輪事件、仮想双子の件、日本の首都ってどこっすか事件、健斗君に俺を紹介してください事件、飼っている犬の名付け親がテニミュ・薄ミュの振付の先生の件、高校の最寄り駅を○×クイズで出題してくる事件、ふたなり事件、誕生日ケーキに号泣事件、ピカチュウの皮リターンズ事件、等々を予定しております…?笑

ミュージカル『手紙』

わたくし、先日、病院の、待合室におりまして、呼ばれましたので、立ち上がったところ、待合室の、イスの下に、カバンと、脱いだコートを置いている自分に、気が付きました。
劇場での振る舞いが日常に及んでいる…

「誰も悪くないのに」

なんて悲劇はよくありますが、このミュージカル『手紙』では、誰も完璧には善くなくて、それぞれ至らない所があって、解決はしなくても人生は過ぎていく感じが、独特でした。

祐輔という役は、「犯罪加害者家族になった主人公(直貴)を10年以上付かず離れず見守り、10年の間に一緒にバンドでメジャーデビューしかけて、直貴の家族に服役中の人がいるせいでデビューは流れてバンドは結局解散したけど、それでも友達でいつづける」なんて優しさのかたまりみたいな人で。
それでも決してただの正義漢には見えないお芝居だったのがとても良かったし、こんな表現があるんだなあ!と思わされました。
祐輔が「正義」になってしまうと、直貴は「可哀想」になってしまうから。そうはならずに、二人はずっと対等でした。

デビュー前にレコード会社の素行調査があって、「直貴が抜けるならデビューできる」という話になってしまい、直貴にバンドを辞めるように頼むメンバーに祐輔が激怒するシーン。
直貴が祐輔に向かって「俺か音楽か選ばないとならなくて、それで音楽を選んだあいつらが悪いわけじゃない」「祐輔まで音楽を辞めないで欲しい」と歌います。
二人は対等で同じ夢を見てるのに、それを一緒に叶えられないのが、悲しかったです。私はこのシーンが劇中で一番悲しかったな…。
祐輔がこのチャンスを見送ってもいいと思えるのは、彼の家庭が裕福で生活に困っていないから、というエピソードもあって、つくづく生まれに翻弄される、人の世です…。

直貴はその後、家電量販店に就職して

由実子という女性と結婚して娘が産まれて、サラリーマンの人生を歩んでいくことになります。
一方の祐輔は音楽を続けてはいるけれど、なかなか売れずに、自分でも「貧乏なのは構わないけど、親を泣かせるのがつらい」と言うような状態。
それでも祐輔はお菓子を持って直貴を訪ねたり、交流は続いています。
デビューするしないであんなに揉めて、音楽に関しては袂を分かってしまって、社会的な立場も随分変わったのに、まだ友達でい続けてくれる祐輔すごいね!?と心から思いました。
これは原作の小説で読んだときはあまり感じていなかったんですが、舞台上の廣瀬さんの身体で見ると分かりました。
実際の人間でやるとここにボリュームが出るのか…みたいな思わぬ発展がありますね…。それはいわゆる2.5次元舞台じゃなくても。

そんな二人だけれど、親友!みたいな感じかといえば全然違いました。二人はずっと友達でいたけど、お互いに明け渡してない心の部分があるなと、色んな所で思わされました。
祐輔が「心の奥をさらけ出せる人に出会いたい」と、まっすぐな声で歌うところとか、
お兄さんがいる刑務所の慰問コンサートに誘われた直貴の、自分の肩に祐輔が手を置いたときの表情とか、
ぜ、全然打ち解けてないじゃん…直貴は色んなものを諦めたままじゃん…とすら思わされて、でも現実に「友達」ってそんな感じかもしれませんね。

ところで、原作の由実子の、直貴の働くバーで違う男の人に口説かれて一服盛られそうになるエピソードとか、逆玉の輿に乗りたい直貴が朝美(由実子の前に付き合ってたお金持ちのおうちのお嬢様)を妊娠させようとして気付いた朝美が激怒するエピソードとか、女性陣が生き生きしてて結構好きだったんですが、ミュージカル版ではその辺がすっぱりなくなって、由実子も朝美も深みのない印象なのが残念でした…。まあ、一冊の小説を舞台にするには、削らなきゃいけない所がたくさん出てくるのは仕方ないですね。

あー、本当に指先まで綺麗な人だなあと思ったのは

直貴が大勢に取り囲まれて責め立てるような歌を浴びるときに、ひとり踊らず立ちすくむ祐輔の、憐れみではなく、怯えと怒りに満ちた表情とか、
曲中にみんなが手に持った手紙を破り捨てる振付のときに、祐輔だけは破らずにいる(祐輔は直貴との関係を断たずにいることの表現?)演出とか、そういうところです。

他にも面白いなーと思ったのは、囚人役のときは歩き方も囚人になっているところとか。角を直角に曲がっている!
転換は人力でセットを動かしていて、スタッフの方だけでなくキャストさんもバーを動かしたり留め具をカチャカチャしたり。
そしてバンドマンの役なのでギターを弾く演技もあって、アルペジオしてる~!!って謎の興奮がありました…。(お手元にミュージカルヘタリアの3枚組ブロマイドをお持ちの方は、この時点でのギターコードの押さえ方をご確認ください。)

東京公演と大阪公演

を観ました。東京公演(新国立劇場小劇場)はとても演出が凝ってました。
まず、1階ロビーから劇場に入るとそこがステージ。びっくり。
業務用のカゴ台車みたいな、そっけない枠組みだけの直方体がいくつもあって、その間を縫って客席に向かう。足元を見ればバミリがたくさん。
バミリに書かれているのはほとんど数字だけど、中には「仏ダン」とかもある…(上演中、高齢の女性の家のシーンで仏壇のセットが登場して「あっ!仏ダン!」と思いました)。
台車のそれぞれに小さめのコンテナ等が置かれていて、その中にはあまりよく見えないけれどなんだか色々と入っていて、これをどう使うんだろうなと思うのも面白かったです。
そのステージ部分から同じレベルで一列目の客席が始まっていて、前方の席で観ると「今そこで起こっていること」を見ている感覚がありました。

大阪公演(枚方市市民会館)は、いわゆる劇場らしい劇場で、東京公演の凝った演出より見やすい!と正直思いました。特に私みたいな、「絶対にこの人の一挙手一投足を見逃したくない」って見方をしている人にとっては…。
東京では、二重唱や三重唱になると歌詞が聞き取りにくかったのですが、大阪では分かった。設備のせいなのかな…。
あと、東京では、最後に直貴が2階のバルコニーからロビーへ出て行くという演出で、それが直感的に「主人公が物語から退場したから終演だ」という感じでとても良かったので、違う会場ではどう表現するのかと思ったのですが、
大阪では最後に、何ていえば良いんだろう、壁?それまで舞台の背景だった、板?がスッと下がって、劇場の構造、コンクリートがあらわになって、これも直感的に「舞台が解体したから終演だ」と分かりました。

それにしても「手紙」というと、私はやはりファンレターの事を考えてしまうのですが、原作の方にはそういう意味でぐさりとくる言葉がたくさんありましたよ。

祐輔は、原作では

「サングラスを外した顔は、美しく整っていた」という表現こそあれ、二枚目キャラという感じではないので、かっこつけなくていい在り方なのがなんだか珍しく感じました。でもかっこいいんですけどね…
開演直後に、客電が落ち切らない状態で客席に登場するんですが、そのときの白い額が本当に綺麗で、毎回「かっ…こいいー……」ってなってました…笑
次は最っ高にかっこつけなきゃいけないであろう、舞台『刀剣乱舞』で、こちらも楽しみでございます!

ミュージカル ヘタリア〜Singin' in the World〜 ※追記あり

開演幕前、銃が置いておりまして、最後にはパスタが置いてあります。

吉谷光太郎 on Twitter: "#ヘタミュ 千秋楽盛り上がったようですね。当日券すごい倍率だったようで。ご来場頂き誠にありがとうございました。 開演幕前、銃が置いておりまして、最後にはパスタが置いてあります。今回の作品のテーマ、 皆様の心に何か届いていたら幸いです。 では、若き戦友たちと乾杯してきます。"

脚本は年表どおりという感じで

登場人物の関係性が変わるとか、大きな変化や成長を遂げるというものではなかったように思います。脚本の起伏のなさがちょっと中盤以降だるかったかな…。
その分、ミクロな部分がメインの見物だった気がする。原作の「わちゃわちゃ感」とでも申せましょうか。
露仏がウォッカの携行缶とデミカップで乾杯してたー!みたいな所です。
それはもう本当に可愛いかっこいい面白いの大盛りで、すごく楽しかった。

不思議なくらい出演者全員の良い所ばかりが見えて、「やめろよ!好きになるだろ!!」でした。
キャラショットが出たときに、衣装とヘアメイクがすごく良く出来てる!(あんなにはっきり発色するコンタクトで度入りって、今はあるんですかね…)と思っていましたが、セットと大道具、小道具もとっても凝ってて面白かったです。
高さ2m以上あるセットが役者さんを乗せたまま動くの、すごくわくわくしました。

最初に書いたような、ミクロな可愛い所を書き出すと本当にきりがなくなってしまうので、感想を書くのが難しいのですが。
ミュージカルのご出演が今年の1月以来だったので、11カ月ぶりに歌って踊っているところを観られて、良かったです。M2楽しかった。カーテンコールで公式グッズの旗を振れるのもすごく楽しかった。
Rockなイギリスさんの曲かっこよかった。曲に入る前の日本との台詞のやりとりも面白かっこよかった。
曲の途中でいなくなって、突然スライディングで再登場してシャウトする勢い、最高だった。回を重ねるごとにシャウトのエコーが強くなっていった…ここが見せ場…!笑
そして、肉じゃがの歌(ビーフシチューを日本海軍がアレンジしたのが肉じゃがの元祖という話…肉じゃが - Wikipediaをネタにした曲)
のイギリスさんがお気に入りでした。可愛いの権化…。

千秋楽では日本さんがお皿に本当にたっぷりよそってあげてるのが見えて、「今日はたくさんくれるんだな」というやりとりのあと、イギリスさんはちょっと口に入れてすぐ噴き出して笑、
そのあと割烹着を着たクッキングアイドル日本さんが、ビーフシチューという名の肉じゃがの作り方を歌に乗せている間、お皿の中身を客席に見せていて。
それが赤く染まった白滝に見えたんですよね…イギリスさんの歯も赤くなってた気がするんですよ。赤くする意味?笑

私は原作を今までちゃんと見たことはなくて、そういう状態からいわゆる2.5次元舞台を見るのが面白かったです。
なんとなく、イギリスといえば紳士のイメージだったので、ずいぶんRock押してくるんだな!そして乱暴なんだな!でも可愛いな!笑という印象でした。
「原作という正解」を踏まえたうえでの舞台化、のことをインタビューで話されていましたが*1、その正解を知らずに観ている観客もいるし、その正解を大切に胸に抱えている観客もいるわけで。
劇場で起きているのは、観る側(複数形)と観せる側との折衝なんだなあと感じました。
カーテンコールで、丁寧に綺麗なお辞儀をしてから、ちょっと斜に構えて不敵に笑いながら片手をポケットに入れる、あれが「ミュージカルのイギリスさん」なんだろうな。

そして、役の影響があったり、集中していたりで、演じている自分が役に塗りつぶされるという話をインタビューでされていたのですが*2、今回は久々に、本篇もカーテンコールも、明るい顔が見られたなあという感じでした。
ハッピーな作品でした。

来年の舞台から

映像が出てました。

雰囲気あってすごくいいと思います。うー楽しみだ。



(1/3追記)
全体としては、可愛い!かっこいい!ハッピー!の気持ちで帰れる舞台でしたが、所々「歴史」というものに胸を押さえられる感覚がありました。
初見で、ポーランド侵攻のシーンを「エグいな…」と思いました。明るい曲調で、目的に向かってなすべきことをなすドイツ兵士の、精気みなぎる場面です。でも観ている21世紀の私は、そのあとの世界大戦を、ユダヤの人々のことを、知っている。そのことと、舞台で溌剌と輝く俳優のギャップに、ちょっと目眩がしました。
同じように、WW2終盤に「アメリカさんに押しかけられて身動きが取れない」という日本のシーンも、かなりウッと来ました。真珠湾、報復、空襲、空襲、空襲、原爆。そういうことがあったって知ってる。それなのに舞台の上では、「イケメン俳優」が二次元キャラの格好で、可愛いこたつのセットで、二人して楽しい日替わりの掛け合いをしている。
なんだろうな、嫌悪感はなかったです。
でも「清濁併せ飲む」というほど、そのまま受け入れられるものでもなかったです。
これがヘタリアという作品の真骨頂なんでしょうか…(今さら気づく)。

閑話休題
赤こんにゃくは実在した(でも肉じゃがに入ってたのはこれじゃなかったような…?)
http://www.norimatu.com/index.html

*1:『キャストサイズ vol.14』三才ブックス

*2:Trickster Age vol.26』徳間書店