ミュージカル ヘタリア〜Singin' in the World〜 ※追記あり

開演幕前、銃が置いておりまして、最後にはパスタが置いてあります。

吉谷光太郎 on Twitter: "#ヘタミュ 千秋楽盛り上がったようですね。当日券すごい倍率だったようで。ご来場頂き誠にありがとうございました。 開演幕前、銃が置いておりまして、最後にはパスタが置いてあります。今回の作品のテーマ、 皆様の心に何か届いていたら幸いです。 では、若き戦友たちと乾杯してきます。"

脚本は年表どおりという感じで

登場人物の関係性が変わるとか、大きな変化や成長を遂げるというものではなかったように思います。脚本の起伏のなさがちょっと中盤以降だるかったかな…。
その分、ミクロな部分がメインの見物だった気がする。原作の「わちゃわちゃ感」とでも申せましょうか。
露仏がウォッカの携行缶とデミカップで乾杯してたー!みたいな所です。
それはもう本当に可愛いかっこいい面白いの大盛りで、すごく楽しかった。

不思議なくらい出演者全員の良い所ばかりが見えて、「やめろよ!好きになるだろ!!」でした。
キャラショットが出たときに、衣装とヘアメイクがすごく良く出来てる!(あんなにはっきり発色するコンタクトで度入りって、今はあるんですかね…)と思っていましたが、セットと大道具、小道具もとっても凝ってて面白かったです。
高さ2m以上あるセットが役者さんを乗せたまま動くの、すごくわくわくしました。

最初に書いたような、ミクロな可愛い所を書き出すと本当にきりがなくなってしまうので、感想を書くのが難しいのですが。
ミュージカルのご出演が今年の1月以来だったので、11カ月ぶりに歌って踊っているところを観られて、良かったです。M2楽しかった。カーテンコールで公式グッズの旗を振れるのもすごく楽しかった。
Rockなイギリスさんの曲かっこよかった。曲に入る前の日本との台詞のやりとりも面白かっこよかった。
曲の途中でいなくなって、突然スライディングで再登場してシャウトする勢い、最高だった。回を重ねるごとにシャウトのエコーが強くなっていった…ここが見せ場…!笑
そして、肉じゃがの歌(ビーフシチューを日本海軍がアレンジしたのが肉じゃがの元祖という話…肉じゃが - Wikipediaをネタにした曲)
のイギリスさんがお気に入りでした。可愛いの権化…。

千秋楽では日本さんがお皿に本当にたっぷりよそってあげてるのが見えて、「今日はたくさんくれるんだな」というやりとりのあと、イギリスさんはちょっと口に入れてすぐ噴き出して笑、
そのあと割烹着を着たクッキングアイドル日本さんが、ビーフシチューという名の肉じゃがの作り方を歌に乗せている間、お皿の中身を客席に見せていて。
それが赤く染まった白滝に見えたんですよね…イギリスさんの歯も赤くなってた気がするんですよ。赤くする意味?笑

私は原作を今までちゃんと見たことはなくて、そういう状態からいわゆる2.5次元舞台を見るのが面白かったです。
なんとなく、イギリスといえば紳士のイメージだったので、ずいぶんRock押してくるんだな!そして乱暴なんだな!でも可愛いな!笑という印象でした。
「原作という正解」を踏まえたうえでの舞台化、のことをインタビューで話されていましたが*1、その正解を知らずに観ている観客もいるし、その正解を大切に胸に抱えている観客もいるわけで。
劇場で起きているのは、観る側(複数形)と観せる側との折衝なんだなあと感じました。
カーテンコールで、丁寧に綺麗なお辞儀をしてから、ちょっと斜に構えて不敵に笑いながら片手をポケットに入れる、あれが「ミュージカルのイギリスさん」なんだろうな。

そして、役の影響があったり、集中していたりで、演じている自分が役に塗りつぶされるという話をインタビューでされていたのですが*2、今回は久々に、本篇もカーテンコールも、明るい顔が見られたなあという感じでした。
ハッピーな作品でした。

来年の舞台から

映像が出てました。

雰囲気あってすごくいいと思います。うー楽しみだ。



(1/3追記)
全体としては、可愛い!かっこいい!ハッピー!の気持ちで帰れる舞台でしたが、所々「歴史」というものに胸を押さえられる感覚がありました。
初見で、ポーランド侵攻のシーンを「エグいな…」と思いました。明るい曲調で、目的に向かってなすべきことをなすドイツ兵士の、精気みなぎる場面です。でも観ている21世紀の私は、そのあとの世界大戦を、ユダヤの人々のことを、知っている。そのことと、舞台で溌剌と輝く俳優のギャップに、ちょっと目眩がしました。
同じように、WW2終盤に「アメリカさんに押しかけられて身動きが取れない」という日本のシーンも、かなりウッと来ました。真珠湾、報復、空襲、空襲、空襲、原爆。そういうことがあったって知ってる。それなのに舞台の上では、「イケメン俳優」が二次元キャラの格好で、可愛いこたつのセットで、二人して楽しい日替わりの掛け合いをしている。
なんだろうな、嫌悪感はなかったです。
でも「清濁併せ飲む」というほど、そのまま受け入れられるものでもなかったです。
これがヘタリアという作品の真骨頂なんでしょうか…(今さら気づく)。

閑話休題
赤こんにゃくは実在した(でも肉じゃがに入ってたのはこれじゃなかったような…?)
http://www.norimatu.com/index.html

*1:『キャストサイズ vol.14』三才ブックス

*2:Trickster Age vol.26』徳間書店

舞台「逆転裁判2 〜さらば、逆転〜」

廣瀬大介 on Twitter: "ちなみに頑張ってるのを見てもらえたからよかったってことではなく頑張ってきたことが実ってよかったという意味です。日本語、難しい。"

これを終演後に読んで、ああ、観客は作った側が見せたいもののそのままを見られるものではない…ということを改めて考えました…
そのことは弁えて、なるべく率直に、客席で感じたとおりに、書きます。
(――こうして今回も、言い訳から記事が始まった――)


原作のゲームは未プレイで、キャラクタの設定とあらすじだけ予習して、観劇しました。

王都楼真悟は

「トノサマン丙」というヒーローものを演じる人気アクション俳優で、キャッチコピーは「春風のように爽やかなアイツ」。
しかし本性は自分の利益のためには他人を陥れることも厭わない凶悪な人物。ゲームとはだいぶストーリーが変わっていたようですが、今回の舞台で王都楼がやったのは「ライバルの藤見野イサオを失脚させるため、藤見野の恋人を呼び出してスキャンダルを起こした」「スキャンダルを乗り越えた藤見野が事件の真相を暴露することを恐れ、藤見野殺害と、暴露のメモを盗み出すことを虎狼死家(コロシヤと読む…)に依頼する」この2点。

主人公である成歩堂の葛藤と円満解決のお話として、とっても面白かったです。けど、王都楼に関してちょっと描写が少なくないか?と思いました。
王都楼の見せ場は、弁護士との接見中に豹変し、凶悪な本性を見せるシーン。
でも、トノサマン丙の世間での人気とか、本性を見せる前の王都楼の情けない姿とか、そういう部分の脚本がなかったので、せっかくの二面性キャラなのに突然豹変した感じが、初見ではありました。

「振りかぶらずに、投げた―!!」

みたいな。
(トノサマンの衣装も絵も出てこなかったので、ゲーム未プレイの私は、「トノサマンのスーツを着ていたなら凶器に指紋はつかない」というセリフで初めて「ああヒーローってそういうかぶり物系ヒーローか…」と知った)
振りかぶらずにいきなり自分のトップギアまで持っていく熱量はやっぱり凄かった。あれは他の人にはない。
でも、ただでさえ脚本でバックボーンの描写がないのに、いわば一人称のお芝居で、“その役がどう感じているか”の表現なので、場面の見どころが「ギアの動いた幅は何センチか」に終始してしまうのかなとも感じました。昨日より今日の幅が小さければ、昨日よりつまらなかったってことになってしまう。

その点、公演期間の終わりには、豹変する場面にもレールが出来ていたように感じました。
そのレールは、王都楼の表人格が出ているときの声の柔らかさとか、優しいけど動かない表情とか、そういうもので出来ていて、三人称の“その役が客席からどう見えているか”の表現が加わってきた、ということかと思います。
大阪千秋楽のカーテンコールでの「安心しました」という言葉に、達成感がありました。また、自己紹介が飛んでたので、それほど緊張してたのかなと思います。

はー、偉そうなこと言ってないですか。大丈夫ですか。
見て考えたことを、書きました。

あとは、顔立ちの問題ですけど、

「春風のように爽やか…?」感はありましたね…笑
カンフェティのインタビュー*1でのご本人の「二枚目を演じるのは、自分ではそろそろ厳しい気がしているんですけど(笑)」を思い出しつつ。いやいや、秋風のように澄みやかですよ。私の目にはいつもけざやかです。
特殊メイクかっこよかったなー。赤っぽくなくて、黒く痣みたいな傷跡に見えるのが良かった。
しかし何の傷跡なのかは分からずじまいだったんですが、ゲームをやればわかるんですかね。
何が「さらば」なのかも分からなかった…。


公演の会場で、来年の『ミュージカル「手紙」』のチラシをいただきました。
これ本当に楽しみです!バンドマン役!!
公演前に、長めのインタビューを誌面で読める予定があるのも嬉しいです。

*1:confettiかわら本vol.131

メサイア―深紅ノ章― 舞台挨拶

10/17 10:00~ 14:55~ 16:00~

1

「うしろの窓のところ(映写室)から、上映中見ていたけど、たくさんのお客さんが見てくださっていて嬉しかった。」
「スクリーンに映っているのを目の当たりにすると、高揚感がありました。」
「舞台、ドラマ、映画と経験させていただいて、こうして真ん中に(立ち位置がセンターだったのです)たたせていただくことにも、感無量でございます。」

4本くらい?マイクが出ていてハウリングがすごかったんですが、すごくキレてた。笑「すっげぇハウるなあ~!!!」
あの音、苦手なんでしょうか…。それとも、テンションが上がってしまってたのか。

「前回の映画とは出演者が違いますが、雰囲気変わりましたか?」と山口監督に聞いたりして、相変わらずのミスター撮れ高感でした。
監督の答えは「あんまり変わりません」でした。

2

郷本さんに「ぜひ口元に注目してください。」「こいつこんな小芝居してたんだなって」と紹介されていました。
あの、口の端で笑う感じのことかなと思ったですが、次の回で詳細が分かります。
中村さん「おつゆ的なことですか?」に対して「それはないです。映画ではおさえてましたので」とはっきり答えてた。おさえられるんですね…。

チャーチのドアを開ける指紋認証のシーンをやってみたかったという杉江さん。「俺たちやったもんな」と赤澤さんにふられて、なぜか「やってないよ」
慌てて監督が「やったやった」と訂正してました。笑
すぐに「あのドア開いて出てくるところがここ!?みたいな場所なんですよね」とすぐ言っていたので、覚えてるじゃないですか…と思いました。

取材のフォトセッション中にムービーも撮ることになり、決め台詞を求められた赤澤さんが、そんなのあったっけ~って困って絞り出したのが「淮斗!!」だったのがすごくよかったです。
護の決め台詞は「淮斗!!」。

3

「マイク通さなくても聞こえてるの?」って客席に聞いて、客席が手を振り返したので、マイクを使ってなかったんですけど、ちょっと聞きにくかった…。
映画本編で、観ていて(西新宿だなあ…)と思ったシーンがあり、たぶんそのシーンのことかと思うのですが、
「新宿の…あ、都内某所で、メサイアコートで外を歩くのが、うそでしょってくらい注目を浴びて…。カメラがあるからまだいいんですけど。」
確かにあれは目立つというか、何だ??ってなるでしょうね。

2で話していた指紋認証のドアの話で、ドアからチャーチの外に出てくるシーンの撮影のために、路地裏のちょっとしたスペースで待機していたんだけれども、1.5人分くらいしかないスペースに護と淮斗でぎゅっと詰まって待機していたそうです。笑
そのぎゅっをその場で再現するのに、特に言葉もなく二人でスッと待機の姿勢になっていたので、メサイア~!以心伝心~!と思いました。

同じく2で話していた口元については、画像解析に集中する淮斗が唇を舐めることだとここでも話題になりました。
役作り?と聞かれた本人は「覚えてない。」まさかの無意識…。監督にも「ドラマでもやってたよ」と言われて、
「淮斗は難しいことに直面すると、クリアしたくて逆にテンションがあがっちゃうんじゃないかな。そういうときの淮斗の癖です。」というような説明をされていて、面白いな~と思いました。

オペラシューズみたいな?浅履きのフラットな靴(かわいい)を履いていた赤澤さんを、「なんか今日小さくない?wwww」と郷本さんと岩永さんの間に引っ張っていったのは、さすが容赦ないなと思いました。「今日」って…。