舞台「逆転裁判2 〜さらば、逆転〜」

廣瀬大介 on Twitter: "ちなみに頑張ってるのを見てもらえたからよかったってことではなく頑張ってきたことが実ってよかったという意味です。日本語、難しい。"

これを終演後に読んで、ああ、観客は作った側が見せたいもののそのままを見られるものではない…ということを改めて考えました…
そのことは弁えて、なるべく率直に、客席で感じたとおりに、書きます。
(――こうして今回も、言い訳から記事が始まった――)


原作のゲームは未プレイで、キャラクタの設定とあらすじだけ予習して、観劇しました。

王都楼真悟は

「トノサマン丙」というヒーローものを演じる人気アクション俳優で、キャッチコピーは「春風のように爽やかなアイツ」。
しかし本性は自分の利益のためには他人を陥れることも厭わない凶悪な人物。ゲームとはだいぶストーリーが変わっていたようですが、今回の舞台で王都楼がやったのは「ライバルの藤見野イサオを失脚させるため、藤見野の恋人を呼び出してスキャンダルを起こした」「スキャンダルを乗り越えた藤見野が事件の真相を暴露することを恐れ、藤見野殺害と、暴露のメモを盗み出すことを虎狼死家(コロシヤと読む…)に依頼する」この2点。

主人公である成歩堂の葛藤と円満解決のお話として、とっても面白かったです。けど、王都楼に関してちょっと描写が少なくないか?と思いました。
王都楼の見せ場は、弁護士との接見中に豹変し、凶悪な本性を見せるシーン。
でも、トノサマン丙の世間での人気とか、本性を見せる前の王都楼の情けない姿とか、そういう部分の脚本がなかったので、せっかくの二面性キャラなのに突然豹変した感じが、初見ではありました。

「振りかぶらずに、投げた―!!」

みたいな。
(トノサマンの衣装も絵も出てこなかったので、ゲーム未プレイの私は、「トノサマンのスーツを着ていたなら凶器に指紋はつかない」というセリフで初めて「ああヒーローってそういうかぶり物系ヒーローか…」と知った)
振りかぶらずにいきなり自分のトップギアまで持っていく熱量はやっぱり凄かった。あれは他の人にはない。
でも、ただでさえ脚本でバックボーンの描写がないのに、いわば一人称のお芝居で、“その役がどう感じているか”の表現なので、場面の見どころが「ギアの動いた幅は何センチか」に終始してしまうのかなとも感じました。昨日より今日の幅が小さければ、昨日よりつまらなかったってことになってしまう。

その点、公演期間の終わりには、豹変する場面にもレールが出来ていたように感じました。
そのレールは、王都楼の表人格が出ているときの声の柔らかさとか、優しいけど動かない表情とか、そういうもので出来ていて、三人称の“その役が客席からどう見えているか”の表現が加わってきた、ということかと思います。
大阪千秋楽のカーテンコールでの「安心しました」という言葉に、達成感がありました。また、自己紹介が飛んでたので、それほど緊張してたのかなと思います。

はー、偉そうなこと言ってないですか。大丈夫ですか。
見て考えたことを、書きました。

あとは、顔立ちの問題ですけど、

「春風のように爽やか…?」感はありましたね…笑
カンフェティのインタビュー*1でのご本人の「二枚目を演じるのは、自分ではそろそろ厳しい気がしているんですけど(笑)」を思い出しつつ。いやいや、秋風のように澄みやかですよ。私の目にはいつもけざやかです。
特殊メイクかっこよかったなー。赤っぽくなくて、黒く痣みたいな傷跡に見えるのが良かった。
しかし何の傷跡なのかは分からずじまいだったんですが、ゲームをやればわかるんですかね。
何が「さらば」なのかも分からなかった…。


公演の会場で、来年の『ミュージカル「手紙」』のチラシをいただきました。
これ本当に楽しみです!バンドマン役!!
公演前に、長めのインタビューを誌面で読める予定があるのも嬉しいです。

*1:confettiかわら本vol.131